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空想世界の税金コラム 第8回 「九条家はどこに税金を納めるのか」

第8回 「九条家はどこに税金を納めるのか
 

  「きんいろモザイク」に出てくる九条カレンの父親は資産家です。
父親の両親は日本人で国籍も日本っぽいですが、イギリス人女性と結婚しています。
物語開始時点ではイギリス在住ですが、作中で日本に転居してきます。
日本ではマンション1棟を貸し切って暮らしています。
そんな九条家は日本とイギリスとどちらで納税するのでしょうか?

 

 1.居住者の判定と課税範囲

  日本に住民票があるか、日本に1年以上住んでいる場合には、「居住者」に該当します。
  おそらく九条家全員は「居住者」に該当するものと思われます。
  「居住者」に該当した場合、日本国内だけでなく、国外で発生した所得に対しても日本の所得税がかかります。
  イギリスにあるかもしれない不動産の収入、英国法人からの配当や給与、イギリスでやっているかもしれない飲食店などの個人事業の収入なども全て日本で課税されます。

  ちなみに居住者の判定に国籍は大して影響しません。

 2.外国税額控除

  イギリスでの収入に対しては、当然イギリス本国も税金を取りに来ます。
  同じ所得に対して2つの国が税金をかけるとなると、二重課税の問題が生じるため、外国税額控除により調整をします。
  まずはイギリスだけの税金を計算・納付して、その分を日本の税金から引く形をとります。
  計算結果次第ですが、全くの同額が控除されるわけではありません。

  所得の種類によっては、日英租税条約により税率等が決められている場合もあります。

 3.住民税

  1と2は国税の話ですが、住民税は少し話が違います。
  日本の住民税は、1月1日に日本に住所がある人にかかります。
  九条家でいうと、日本に引っ越してきた年(x1年)の住民税は発生しません。
  翌年(x2年)は、日本に引っ越してきた年(x1年)の所得に応じた住民税がかかります。

4.各種社会保険

  国民健康保険と国民年金については、「国民」とついているものの外国人にも加入義務があります。
  もちろん短期滞在者は対象外ですが、九条家のように家を借りて住むとなると当然に負担しなければならなくなります。


私がもしイギリス人資産家なら、間違いなく日本には住みませんね(笑)
よっぽど日本フリークでないと、税金面の負担は相当大きいものとなります。
よく「税金は社会の会費」と言われますが、九条家にとっては日本という社会は「会費を払ってでも参加する価値があるよい社会」ということなのでしょう。実に嬉しいことです。

 


 ◆参考

※いずれも国税庁HP
 居住者と非居住者:https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2875.htm
 国内源泉所得の範囲:https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2878.htm  
 日英租税条約:https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/5335.pdf

※財務省HP
 税は社会の会費:http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei/01.htm


 


 

※このコラムは、作成時の法令等に基づいて作成されています。今後の法令改正等により実情とそぐわなくなる場合がありますのでご了承ください。また、登場する取引等は明らかに外国人等により国外・地球外に於いて行われている場合がありますが、原則として全て日本国籍を持つ人間・内国法人等が行う日本国内の取引と仮定しております。なお、登場する人物・組織はしばしばスピード違反・詐欺・強盗・殺人などを行うことがありますが、弊社がこれらの違法行為を推奨・保障するものではありません。
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