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空想世界の税金コラム 第7回 「心がぴょんぴょんしないラビットハウスの試作ラテ」

第7回 「心がぴょんぴょんしないラビットハウスの試作ラテ


  飲食店などを運営する場合、材料などの仕入れは当然経費となります。但し、経費で仕入れた材料をオーナーや従業員が自分たちで飲食したとなると、一部経費で落とせない部分が出てきます。

 「ご注文はうさぎですか」の作中で、ココアたち登場人物がラテアートの練習をするシーンがあります
お客さんに出すラテではなく、自分たちの練習で作って自分たちで飲むためのもののようです。
 このような場合、少し難しい言葉で「自家消費」と言います。

材料は経費で落としていて自分たちは美味しいラテを無料で飲む、なんてことは問屋(税務署)が卸しません。
「材料代を落とすんだったら、それに対応する売上も計上してね」というのが原則です。
但し、所得税と消費税で若干取扱いが違います。

 1.所得税

 所得税の場合、通常の売値の70%を売上計上することが求められます。
 1杯600円のラテであれば、600円×70%=420円が売上となります。(現金収入がなくても)

 2.消費税

 消費税の場合、通常の売値の50%に対する消費税の上乗せが求められます。
 1杯600円のラテであれば、600円×50%=300円に対する消費税を上乗せして計算する必要があります。

 3.(例外)法人だった場合

 ラビットハウスが個人経営ではなく、法人経営だった場合は更に複雑になります。
まず、自家消費したのが役員かそれ以外かで取り扱いが異なります。
 (1) ココアやリゼなどの第三者である場合
  一定の基準を満たせば福利厚生費にできる可能性もあります。
  法人からの贈与となった場合には、個人は一時所得課税、法人は寄付金として一定額損金不算入になる可能性があります。
 (2) チノがみなし役員である場合
  役員への利益提供は、役員給与(賞与)の損金不算入・源泉徴収税額の不足・個人への給与課税・時価相当額の消費税課税など様々な問題が生じます。
  チノは直ちにラテの無料飲みはやめて、売値の50%超程度の代金をラビットハウスに納めるべきです。
   ※親族かつ経営に従事している、ラテは無料で自家消費している、という前提です。



お店のものに手を付けるというのは、そんなに心がぴょんぴょんするものではありません。

 


 

 ◆実際は

  購入した材料や物品を私的に消費した場合には、一定額を売上や消費税の対象として計上しなければなりません。
但し、形あるモノだけが対象であり、サービスは対象となりません。
自動車修理工場のオーナーが、仕入れた部品を自分の車につければ自家消費ですが、自分や家族や友達の車を整備したからといって自家消費には当たりません。あくまで経費⇔売上との対比を取っているだけで、サービスには仕入(経費)がないからです。

※いずれも国税庁HP
 所得税:https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/06/01.htm
 消費税(個人):http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6317.htm  
 消費税(法人):http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6321.htm


 

※このコラムは、作成時の法令等に基づいて作成されています。今後の法令改正等により実情とそぐわなくなる場合がありますのでご了承ください。また、登場する取引等は明らかに外国人等により国外・地球外に於いて行われている場合がありますが、原則として全て日本国籍を持つ人間・内国法人等が行う日本国内の取引と仮定しております。なお、登場する人物・組織はしばしばスピード違反・詐欺・強盗・殺人などを行うことがありますが、弊社がこれらの違法行為を推奨・保障するものではありません。